更年期症状と関節炎
手の関節の痛み・しびれに女性ホルモンが関係している?
女性が更年期を迎えるとさまざまな体調の不調が起こります。
代表的な症状
①骨量減少
女性ホルモンの急激な減少によって起きる骨密度の低下
②肌
エストロゲンとともに肌の弾力が失われ乾燥や深いシワへとつながります。
③脂質代謝異常
コレステロール値が高くなり、心筋梗塞・脳梗塞などの動脈硬化が引き金となる病気のリスクが高まります。
④その他
・のぼせ
・ほてり
・ホットフラッシュ
・ 頭痛
・めまい
・耳鳴り
・物忘れ
・記憶力低下
・不眠
・不安感
・全身疲労感
・口の乾き
・のどのつかえ
・動機・息切れ
・食欲不振
・吐き気
・便秘
・下痢
・ 腰痛
・しびれ・知覚過敏 • 皮膚や粘膜の乾燥・かゆみ
• 関節痛・筋肉痛
女性ホルモン(エストロゲン)と関節痛・腱鞘炎の関係
この中で、整形外科領域で特に関連のある関節痛についてお話ししたいと思います。
近年、更年期に起こる関節痛と女性ホルモンとの関係が注目されています。
女性ホルモン(エストロゲン)は、体の様々な部分にあるエストロゲン受容体にくっつく事で様々な作用をもたらします。
整形外科疾患に関連する主なエストロゲンの効果として
- 関節軟骨・腱・腱鞘の保護作用
- 骨の新陳代謝
があります。骨・関節の健康には女性ホルモンが十分にあることが大切です。
ところが、更年期になると女性ホルモンが減少するために骨がもろくなったり、関節が腫れたり変形したりします。
手の関節の痛みや腫れ
更年期からの手の変形で代表的な疾患として
- へバーデン結節
- ブシャール結節
- 母指CM関節症
が挙げられます。これまでは「歳のせい」「使いすぎ」「治らない」と言われがちでしたが、最近の研究でエストロゲンと深い関係があることが分かってきました。エストロゲンは腱や滑膜(関節を包む膜)の腫れを取る抗浮腫作用があります。
更年期による手の関節の痛みは予防できる?
近年「エクオール」サプリメントによる関節痛の改善効果、予防効果が注目されています。
エクオールとは?
納豆や豆乳などの大豆食品を食べると、イソフラボンが腸内細菌で代謝され、「エクオール」に変化します。
エクオールは女性ホルモン(エストロゲン)と似た分子構造をもっています。
関節を健康に保つ女性ホルモンと同様の効果が期待出来ます。
エクオールは腸内細菌で大豆イソフラボンが代謝されて出来ますが、この腸内細菌をもっている人は、日本人の50%程度とされています。
エクオールを3ヶ月間摂取した人は、痛みなどの症状が明らかに少なかったとの結果が日本手外科学会で報告されています。
まだ長期成績は出ていませんが、このエクオールサプリメントは、予防効果も含めて期待できる可能性があります。
また、首や肩こりへの有用性も報告されています。
すべての症状に効果が必ず期待できるわけではありませんが、更年期症状でお困りの方に対する治療法のオプションとして有用であると考えられます。
ただし、関節炎や肩こりなどの症状がすべて更年期の症状というわけではありません。まずは整形外科受診をしていただき、その他の疾患がないことを確認することが大切です。