乳幼児、成長期のお子さんの体の成長のことでご心配されるご両親は多いと思います。

小児整形外科における代表的な病気の症状、原因・病態、治療方法などを紹介します。
お子さんの姿勢の問題や関節の動きなど、体のことで気になることがあれば、当院にお気軽にご相談下さい。
病気やけがからの回復、そして発症予防に努め、健康で快適な生活のお手伝いをいたします。

1.肘内障

症状
子供が手を引っ張られた後などに、痛がって腕を下げたままで動かさなくなります。

原因
肘の靱帯(輪状靱帯)から肘の外側の骨(橈骨頭)がはずれかかることによって起こります。
5歳以下のお子さんに起こることが多いです。

肘内障 小児整形外科

治療
徒手整復を行います。整復の後はいつも通りに腕を使えるようになります。
繰り返すこともあるので、手をひっぱりすぎないように注意してください。

2.先天性股関節脱臼

症状
股関節の開排制限(股の開きが悪いこと)があります。乳幼児健診で指摘されることが多いです。

原因
股関節は大腿骨頭が、骨盤の臼蓋という受け皿にはまりこんでいる関節です。股関節が生まれつき緩かったり、臼蓋形成不全(臼蓋のはまりが浅い状態)があり股関節が脱臼した状態です。現在は1000人に1~3人の発生率と言われています。
お母さんやきょうだいに先天性股関節脱臼の人がいる場合は発生率が少し高くなると言われています。放置すると、将来的に変形性股関節症を引き起こす可能性があるので、早期発見が重要です。
井出整形外科内科クリニックでは、レントゲン検査に加えて超音波検査(エコー)を用いて早期発見に努めています。

先天性股関節脱臼

治療
乳児期に発見された場合、リーメンビューゲルと呼ばれるひも型の装具療法が行われます。そのような場合には、連携機関である高次医療機関にご紹介させていただきます。

3.単純性股関節炎

症状

特にきっかけがなく、股関節や膝の痛みのため足をひきずって歩くようになります。
幼児〜学童(3~8歳)くらいの子どもに起こることが多いです。股関節を安静に保ち、歩行させなければ、ほとんどは1週間~10日以内くらいで自然に治ります。

原因

はっきりとした原因はわかっていません。風邪をひいた後、運動や外傷により引き起こされることもあります。通常レントゲン検査では異常はありません。超音波検査(エコー)により関節の内部にたまっている水(水腫)を確認することができます。

井出整形外科内科クリニックでは、エコー検査を用いて早期診断に努めています。

治療

安静のみで治ることがあります
数日〜数週間の経過で速やかに改善することが多いですが、その間、運動や登園・通学はお休みしてもらいます。
まれに、症状が強い場合や自宅で安静にすることが難しい場合、入院し牽引治療が必要になることもあります。

4.化膿性股関節炎

症状

足がはれる、熱が出る、足を痛がり動かさないなどの症状が起こります。

原因

股関節に細菌が侵入し引き起こされる感染症です。
比較的抵抗力(免疫)が整っていない頃の赤ちゃんに生じます。
感染が成長軟骨へと広がると後に後遺症を残す可能性があるので早期診断、治療介入が必要です。
お子さんで、熱があり、股関節を痛がって動かさない場合にはまず第一に考える疾患です。

レントゲンでは異常がうつらないことが多く、超音波検査(エコー)で関節内にたまっている膿を確認します。
井出整形外科内科クリニックではエコーを用いることで早期発見に努めています。

治療

化膿性股関節がすこしでも疑わしければ可能な限り直ちに抗菌薬治療、穿刺や切開排膿が必要になります。
救急疾患であり、後遺症を残さないためにも早急な治療介入が必要です。
その場合には連携機関である高次医療機関に紹介させていただきます。

5.環軸椎回旋位固定

症状

首を痛そうにしていて傾いている、首が回らないといった症状が出ます。ちょっとした外力(普通に遊んでいただけ)や風邪で熱が出た後に症状が出ることがありますが、特に誘因がなく突然症状が出ることもあります。

原因

第1頚椎(環椎:かんつい)と第2頚椎(軸椎:じくつい)の歯突起(しとっき)が亜脱臼した位置で固定されてしまうことが原因です。
お子さんの場合、歯突起の形状が未成熟であること、周囲の靱帯がやわらかいことが原因として考えられています。
多くは原因が不明で、約1割のお子さんに感染症(上気道感染、咽頭炎、中耳炎など)が発症に関連しているといわれています。

環軸椎回旋位固定

治療

発症早期の段階では、頚椎カラーの装着により10日間程度で治癒することが多いです。
ずれが大きい、カラーの装着により改善しない場合、入院の上介達牽引治療が必要になることもあります。
その場合には、連携機関である高次医療機関にご紹介させていただきます。

6.強剛母指

症状

乳児の頃から母指(親指)の第1関節が曲がったままで伸びない状態です。母指の付け根の部分にしこりが触れることがありますが、あまり痛がりません。生後3ヵ月くらいに気づかれる方が多いです。

原因

母指を曲げる腱は、腱が浮き上がらないように硬い腱鞘というトンネルを通ります。
腱がこのトンネルの出口で膨らんで太くなり、腱鞘にひっかかかってしまいトンネルの中を滑らなくなってしまうことで指が動かなくなります。

強剛母指 小児整形外科

治療

自然治癒することがあるので、経過観察をします。
自然治癒しなかった場合には、学童期(小学校)に入る前を目安に手術治療を行います。
手術は狭くなった靱帯性腱鞘を開きます。そのような場合には、連携機関である高次医療機関にご紹介させていただきます。

7.側弯症

症状

背骨が左右に曲がり、 左右の肩の高さの違い、肩甲骨のでっぱり、腰の高さの非対称などがみられます。

側弯症 小児整形外科

原因

女子に多く、発生頻度は1~2%程度です。
原因不明の側弯を特発性側弯症といい、全体の約6−7割をしめます。
脊柱の先天的な異常による側弯を先天性側弯症、神経や筋の異常による側弯を症候性側弯症といいます。

学校検診で指摘されることが受診のきっかけになることが多いです。

治療

背骨の曲がりが進行する前に診断して、治療を開始することが重要です。
治療は曲がりの程度や場所、年齢によって異なります。
一般に程度が軽い場合には経過観察となります。成長とともに曲がりが進行することがあります。
一定以上進行する場合は装具治療が必要になることがあります。
体の成長が止まると曲がりの進行が止まることが多いですが、ある一定以上の曲がりが残った状態になると、成人後も進行する可能性があるため手術治療が必要になることがあります。
そのような場合には、連携機関である高次医療機関にご紹介させていただきます。

8.骨端症

小児には、成長軟骨があり、1つの骨に対して真ん中と両端(骨端核:こったんかく)との間に成長軟骨がはさまっています。
ここに力が加わると、成長軟骨部での骨のずれやはがれが起こりやすくなります。成長期特有の病態です。

骨端症

体のさまざまな部分に起こることがあります。
代表的な骨端症をご紹介します。

Osgood-Schlatter病(オスグッド)

症状
膝のお皿(膝蓋骨)の下、すね(脛骨)の上のほうに出っ張りと痛みが出ます。
炎症が起こると赤みをもって腫れることもあります。休むと痛みが無くなりますが、スポーツを始めると痛みが再発することが特徴的です。
発育期のスポーツ少年に起こりやすい症状です。

原因
10~15歳の成長期のお子さんに起こりやすいです。
膝を伸ばすときに大腿四頭筋(ふとももの前の筋肉)が膝蓋骨(膝のお皿)を介して収縮します。

膝蓋腱が脛骨にくっつく部分に繰り返しひっぱられる力が加わることにより脛骨の成長軟骨がはがれてしまいます。

オスグッド病

レントゲン検査で、成長軟骨のはがれの程度を確認します。
レントゲンではうつらないような初期の段階では、超音波機器(エコー)が有用です。
井出整形外科内科クリニックでは、エコーを用いて軟骨の状態、炎症の程度、膝蓋腱の状態を正確に評価した上で治療を行っています。

治療
痛みが強いときは、スポーツ活動を休止します。同時に、大腿四頭筋のかたさが原因の1つなので、ストレッチを行います。
スポーツを休止することで痛みがとれたら、徐々に再開します。数カ月間はスポーツをすると痛みが強くなるので、スポーツ前後の大腿四頭筋のストレッチを徹底します。装具治療(バンド)も行います。

Sinding Larsen-Johansson 病(膝のお皿の骨端症)

症状
膝の前面、お皿(膝蓋骨)の下に痛みが出ます。

原因
10-14歳の男子によく起こります。
スポーツによりジャンプ、ダッシュ、ストップなどの大きな力が加わると痛みが出ますが、安静にすると痛みはよくなります。
膝蓋骨下極(お皿の下の部分)に繰り返される牽引力が加わることで発症します。


レントゲンで膝蓋骨下極に骨不整像・融解像、剥離骨片がうつることもあります。
レントゲンでうつらない初期の段階でも、超音波検査(エコー)で骨皮質の不整や異常血流が確認できることがあります。
井出整形外科内科クリニックでは、エコーを用いて軟骨の状態、炎症の程度、膝蓋腱の状態を正確に評価した上で治療を行っています。

治療
局所の安静が必要です。普通に歩く際にも痛みが出る場合には、スポーツ活動は休止します。同時に大腿四頭筋のストレッチを行います。
歩行時の痛みが改善したら、徐々にスポーツ活動を再開します。

Kohler 病(ケーラー病)

症状
足の甲の内側に痛みが出ます。特に体重をかけたときに痛みが強くなります。

原因・病態
繰り返し足に負担がかかることにより、舟状骨という足のアーチ構造の頂点付近の骨に血流障害が起こることが原因です
4−7歳の男児に起こることが多いです。

ケーラー病

治療
局所の安静のためにスポーツ活動は中止します。症状が比較的軽い場合には、足底装具(インソール)による装具療法を行います。
痛みが非常に強い場合には、約3−4週間のギプス固定を行います。

Freiberg病(フライバーグ)

症状
歩くときなど体重がかかった時に、足の人差し指の付け根に痛みが出ます。

原因・病態
10代の女児に発症することが多く、第2中足骨次いで第3中足骨に起こりやすいです。
成長期に骨の成長する部分(骨端核)の血流障害が原因です。
部分的に成長が止まることがあります。第2ケーラー病ともよばれます。

フライバーグ病

治療
まずは装具療法(足底装具:インソール)を用いて患部への負担を軽減します。痛みが強い時期は、松葉杖を用いて患部に体重をかけないことも重要です。発症初期にはギプス固定を3−4週間行うこともあります。

症状がとれない、変形が進行する場合には手術治療も検討されます。
手術は壊死部の骨頭を切除する方法や、骨頭のつけ根の部分を楔(くさび)状に切除して、骨頭を背側に回転して固定する方法などがあります。

そのような場合には、連携機関である高次医療機関にご紹介させていただきます。

Sever病(シーバー病)

症状
かかとの軽い腫れ、圧痛(押すと痛いこと)、歩行時痛が特徴的です。痛みのため、つま先歩きになることがあります。

原因・病態

10歳前後の男児に起こることが多いです。
発育期の踵骨骨端部(アキレス腱がついているところ)に運動などで負荷がかかり、さらににアキレス腱の引っぱる力が持続的に加わることで踵骨に血流障害が起こることが原因です。血流障害により、骨端核の壊死や骨軟骨炎を発症します。

シーバー病 小児整形外科

治療

局所安静が重要です。激しいスポーツ活動は中止します。痛みが強く続く場合には、踵に負担がかからないように松葉杖を使います。
また、装具治療として足底装具(インソール)を装着します

Panner病

症状
肘の痛みが出ます。

原因・病態
上腕骨小頭 骨端核の無腐性骨壊死です。7-9歳の男児で野球をしている児童に起こることがあります。
はっきりとした原因はわかっていません。

Panner病 小児整形外科

治療
スポーツ禁止、局所の安静が必要になります。特に腕を頭上に上げる動作を禁止します。症状が強い場合には約1ヶ月シーネ固定を行います。


主にご紹介させていただく高次医療機関


聖隷横浜病院
横浜市立大学附属病院市民総合医療センター
横浜市立大学附属病院
横浜市立市民病院
横浜市立みなと赤十字病院
けいゆう病院
横浜中央病院
横浜掖済会病院