手は日常生活でよく使う部分ですので、痛みがあると仕事や家事ができないなど、日常生活動作に支障が出て痛みに悩まされている方も多いと思います。
手の痛みには、関節の痛み、靱帯の痛み、腱の痛みなどさまざまな原因があります。

井出整形外科内科クリニックでは、身体所見、レントゲン、超音波機器(エコー)、必要に応じて連携機関でMRIやCT撮影を行い、痛みの原因を正確に診断するように努めています。

日常生活の動作が原因であった場合、普段の生活や薬の服用に関するアドバイスで、症状改善に繋げます。
また、リハビリも併用するとより効果的です。

痛みが強い方には、エコーを用いたブロック注射(関節内注射や腱鞘内注射など)も選択されることがあります。

手首・指に痛みが現れる代表的な病気の症状、原因、治療方法などを紹介します。
「手首・指に痛みがある」「手がこわばる」「思い当たる症状がある」という方は、お気軽にご相談ください。
病気やけがからの回復、そして発症予防に努め、健康で快適な生活のお手伝いをいたします。

1.ばね指(腱鞘炎)

症状

指の付け根に痛み、腫れが生じ動かしづらくなります。
朝方に症状が強いことが多いです。

原因・病態

指を曲げる、手を握るなどの動作は、腱が滑走することにより可能になります。
腱は、浮き上がらないように腱鞘(けんしょう)によって押さえられています。

腱鞘に炎症が起こると、「腱鞘炎」になり痛みが生じます。進行すると引っ掛かりが生じばね現象が起こります。
これを「ばね指」と呼んでいます。

更年期の女性に多く、妊娠出産期の女性にも生じます。既往に糖尿病、リウマチ、透析がある方に発生しやすいです。特に親指、中指に多いです。

治療

局所の安静がまず第一です。
服薬治療や、痛みが強い場合には腱鞘内注射(局所麻酔薬やステロイド)を行います
度重なる腱鞘内注射は、腱の変性を引き起こし、稀ですが腱の断裂にいたるケースもあります。

井出整形外科内科クリニックでは、エコーを用いて炎症の部位、腱を正確に判断することにより、注射による腱の損傷を回避するよう努めています。

ただし、何度も再発を繰り返す場合は、腱鞘の鞘を開く手術(腱鞘切開)が必要になることがあります。
そのような場合には連携機関である高次医療機関にご紹介させていただきます。

2.ドケルバン病
  (de Quervain disease)

症状

手首の、親指側に痛みを感じます。
腫れを伴うこともあり、親指を広げたり動かしたりすると痛みが強くなります。

原因・病態

腱をおさえる腱鞘と、そこを通過する腱に炎症が起こった状態です。腱鞘の部分で腱の動きがスムーズでなくなり、痛みや腫れが出ます。
短母指伸筋腱・短母指外転筋腱が通る腱鞘に起こります。スポーツや指を良く使う仕事の人に多く発生します。
妊娠出産期の女性や更年期の女性に多いのも特徴です。親指の使いすぎにより、腱鞘が厚くなったり、腱の表面が傷んだりして、炎症が起こります。

治療

痛みが強いときには局所の安静が必要です。
服薬治療、装具療法、腱鞘内注射(局所麻酔薬とステロイド薬)を行います。

井出整形外科内科クリニックでは、エコーを用いて注射による腱の損傷を回避するように務めています。

改善しないときや再発を繰り返す場合は、腱鞘の鞘を開く手術(腱鞘切開)が必要になることがあります。
そのような場合には連携機関である高次医療機関にご紹介させていただきます。

3.ヘバーデン結節

症状

指のDIP関節(一番爪に近い関節)の痛みや腫れが出ます。赤く腫れあがることもあります。
進行すると指が曲がります。第1関節の近くに水ぶくれができることがあります。(粘液嚢腫

原因・病態

40歳代以降の女性に多く発生します。
関節軟骨のすりへりによる変形なので、手を良く使う人にはなりやすい傾向があります。

治療

局所の安静が必要になります。
痛みが強い場合には服薬治療や、テーピングをします。

急性期には関節内注射などが行います。

痛みが治らないかたは、手術治療により、変形した関節を固定する手術(関節固定術)を行うことがあります。
そのような場合には、連携機関である高次医療機関にご紹介させていただきます。

4.CM関節症

症状

雑巾をしぼる時や、ビンのふたを開ける時などの動作で手首の親指側に痛みが出ます。

原因・病態

母指(おや指)の付け根の関節(CM関節)は、他の指と向き合ってつまみ動作をするときに動く関節です。
CM関節はつまみ動作の中心であり、関節軟骨の摩耗がおきやすい部分です。

治療

消炎鎮痛剤の塗り薬や貼り薬を用いて炎症をおさえます。
装具治療も有効です。痛みが強いときには服薬治療も併用します。

痛みがとれない場合には、関節内注射も行います。

このような治療でも痛みが強い場合や、関節の変形が強い場合には、手術治療(関節固定術・関節形成術)が選択されることもあります。
そのような場合には、連携機関である高次医療機関にご紹介させていただきます。

5.橈骨遠位端骨折

症状

手首の痛み・変形が起こります。

原因・病態

前腕には橈骨(とうこつ)尺骨(しゃっこつ)の2本の骨があります。橈骨は、親指側の骨です。
手のひらをついて転んだり、自転車やバイクに乗っていて転んだりしたときに、橈骨は骨折しやすい部分です。

治療

局所麻酔注射(血腫ブロック)や、神経ブロックによりまず痛みをとります。
痛みをとった状態で、手を引っ張ることにより整復操作(骨のずれを元にもどす)を行います
ギプスシーネ固定を行い、不安定な骨折部を支えます。
骨がつくまで約4-6週間の固定が必要になります。

骨折した部分のずれが大きい場合や、徐々にずれてきてしまう場合には手術治療が必要になることがあります。
そのような場合には、連携機関である高次医療機関にご紹介させていただきます。

6.関節リウマチ

症状

手や足の指の関節が対称的に腫れて痛みが出ます。
とくに朝、こわばるようになります。
膝関節や股関節など大きな関節にも起こります。
各年代で起こり得る病気ですが、特に30~40歳代の女性に多く発症します。
早めの診断・治療が必要です。

原因・病態

自己免疫の異常が原因と考えられています。
関節の中の滑膜という組織にリンパ系細胞が集まって反応が起こり、軟骨や骨を破壊してしまいます。

治療

関節の破壊が起こる前の早期の治療が重要です。

治療は薬物療法が基本であり、抗リウマチ剤と非ステロイド性消炎剤を基本として治療が行われます。
ステロイド剤、免疫抑制剤、生物学的製剤が用いられることもあります。
補助療法として、ステロイド剤やヒアルロン酸製剤の関節内注射が行われることもあります。
リハビリも有効です。

近年、様々な抗リウマチ剤が使用できるようになっており、早期の治療介入により病状のコントロールあるいは寛解が得られることもあります。

レントゲン検査で異常がみつからないような早期の関節リウマチの診断には、血液検査やエコーによる滑膜炎の確認が有用であり、当院では、エコーを用いて早期の滑膜炎の評価を積極的に行い、早期発見に努めています。