手足のしびれ、痛みでお困りの方も多いと思います。
手や足のしびれの原因となる代表的な病気の症状、原因・病態、治療方法などを紹介します。
四肢の手足やしびれが気になる方は、当院にお気軽にご相談下さい。
病気やけがからの回復、そして発症予防に努め、健康で快適な生活のお手伝いをいたします。
1.頚椎症性神経根症
症状
中年〜高齢の方に多い病気です。
首や首から腕の痛みやしびれが生じます。
手のしびれも起きることもあります。
軽いしびれから夜も眠れないほどの痛みまで程度はさまざまです。
首を後ろへそらすと痛みが強くなりますので、上を見ることやうがいをすることが不自由になります。
進行すると手の筋力がおちたり(運動麻痺)、感覚が鈍い(感覚障害)が生じることもあります。
原因・病態
加齢によって、頚椎の椎間板がでっぱったり骨のとげ(骨棘)が生じることによって、神経が圧迫刺激されてしまうことが原因です。
首をそらせてパソコン作業するなどの姿勢が原因となることがあります。
治療
まずは首を後ろにそらさないように日常生活の姿勢の注意が必要です。
頚椎のけん引などのリハビリ治療、服薬治療(消炎鎮痛剤や神経障害性疼痛治療薬)を行います。症状が強いときには一時的に頚椎カラーを装着することもあります。
リハビリや服薬治療を行っても痛みが強い場合、エコーを用いた神経根ブロックの効果が期待できます。
上記のような保存治療でも症状の改善が得られない場合には手術治療が選択されることがあります。
そのような場合には連携機関である高次医療機関にご紹介させていただきます。
2.頚椎椎間板ヘルニア
症状
首や首から腕の痛みやしびれが生じます。
手のしびれも起きることもあります。
軽いしびれから夜も眠れないほどの痛みまで程度はさまざまです。
首を後ろへそらすと痛みが強くなりますので、上を見ることやうがいをすることが不自由になります。
進行すると手の筋力がおちたり(運動麻痺)、感覚が鈍い(感覚障害)が生じることもあります。
原因・病態
頚椎の椎間板がでっぱることで神経が圧迫刺激されてしまうことが原因です。
治療
まずは首を後ろにそらさないように日常生活の姿勢の注意が必要です。
頚椎のけん引などのリハビリ治療、服薬治療(消炎鎮痛剤や神経障害性疼痛治療薬)を行います。症状が強いときには一時的に頚椎カラーを装着することもあります。
リハビリや服薬治療を行っても痛みが強い場合、エコーを用いた神経根ブロック注射を行うことがあります。
上記のような保存治療でも症状の改善が得られない場合には手術治療が選択されることがあります。
そのような場合には連携機関である高次医療機関にご紹介させていただきます。
3.頚椎症性脊髄症
症状
手の細かい動きがしづらくなります。ボタンのはめ外しがしづらい、お箸が使いづらい、字が乱れてきてしまったなどの症状(巧緻運動障害)が出ます。歩行で脚がもつれるような感じがしたり、階段の上り降りが不安定で手すりが必要になったりという症状が出ます。手足のしびれも出てきます。
原因・病態
加齢によって、頚椎の椎間板がでっぱったり骨のとげ(骨棘)が生じることによって、神経が圧迫刺激されてしまうことが原因です。
日本人は脊柱管の大きさが欧米の方と比較して小さく、頚椎症性脊髄症の症状が生じやすいと言われています。
治療
転倒などの軽微な外傷で手足の運動麻痺が起こる可能性がありますので、転倒しないように注意が必要です。
手足のしびれに対しては内服治療を行います。
症状が軽い方の場合には、症状の進行がないか慎重に経過をみます。症状が徐々に進行してしまう方、日常生活に支障があるような手指巧緻運動障害がみられたり、階段昇降が難しくなってしまったりという症状がある場合には、手術治療が必要になることがあります。
手術治療が望ましい状態の方については、よく治療方針を相談させていただき、必要であれば連携機関である高次医療機関にご紹介させていただきます。
4.胸郭出口症候群
症状
首や肩甲骨周囲の痛みや手足のしびれ・痛みが出ます。
特につり革につかまるときなど、腕を上げた状態での動作で症状が強くなることが多いです。
握力が落ちたり、細かな動作がしづらくなるといった症状が出ることもあります。
原因・病態
脊髄から出た神経は、それぞれ合流と分岐を繰り返し腕へとつながっていきます。
この部分を腕神経叢と呼びます。
腕神経叢と鎖骨下動脈は平行して走行しています。
神経や血管が障害を受ける部分は大きく以下の3つにわかれます。
①斜角筋間
②鎖骨−第1肋骨間
③小胸筋烏口突起付着部
これらの部位で神経や血管が圧迫を受けることで、肩甲骨周囲の痛みや腕の痛み・しびれが出ます。
これらは総称して胸郭出口症候群と呼ばれます。
胸郭出口症候群の中で、神経が圧迫されることに引き起こされる方が大多数と言われています。
①の斜角筋や、②の鎖骨−第1肋骨間で障害を受けることがほとんどです。
治療
肩甲帯を固定するための装具療法や、肩甲骨の動きを改善するリハビリ治療を行います。
腕神経叢ブロック注射が有効であることがあります。
症状が改善しない方は、手術治療が検討されることがあります。
そのような場合には連携期間である高次医療機関にご紹介させていただきます。
5.肘部管症候群
肘で尺骨神経に圧迫や牽引などが加わって、生じる神経の障害をいいます。
初期は小指やくすり指のしびれが出ます。
症状が進行すると手の筋肉がやせてきたり、小指と環指の変形がおきてきます。
病態・原因
肘の内側で尺骨神経慢性的に圧迫を受けたり、引き伸ばされることで発症します。
原因はさまざまですが、以下の原因で引き起こされることが多いです。
・靱帯や腫瘤(ガングリオンなど)による圧迫
・慢性的な肘への負荷による変形
・こどもの頃の肘の骨折による変形治癒
・野球や柔道などのスポーツ
治療
深く肘を曲げないようにするなどの肘の安静、服薬治療(消炎鎮痛剤や神経障害性疼痛治療薬)を行います。
井出整形外科クリニックではエコーを用いて、神経の圧迫部位を確認し、神経を圧迫している腫瘤(ガングリオンなど)がないか確認します。
必要に応じて神経周囲に局所麻酔薬を注射することにより除痛をはかります。
神経麻痺が進行しているときには、進行を防ぐ・回復を促す目的で手術治療が選択されることもあります。
その場合には、連携機関である高次医療機関にご紹介させていただきます。
6.手根管症候群
症状
手のひら、特に親指側の3本にしびれや痛みが出ます。
進行すると母指球(親指の根元の筋肉)が痩せてきます。
明け方に痛みが強いことが多く、朝起床時に痛みやしびれを感じます。
手を振ったりすると症状が楽になることが多いです。
妊娠・出産をきっかけに発症することもあります。
原因・病態
手根骨(手の小さな骨)は、靱帯により連結されています。
手首の近くには横手根靱帯という靱帯があり、このトンネル(手根管)の中を正中神経が走っています。
使いすぎによる腱鞘炎や、怪我(外傷)による炎症により、手根管の内圧が上がり、神経が圧迫されてしびれや痛みが出ると言われています。
治療
消炎鎮痛剤や神経障害性疼痛治療薬の内服治療を行います。
症状が強い方には、装具やシーネによる固定を行い、局所の安静を図ります。
症状がとりきれない場合には、超音波を使用した神経ブロック注射(局所麻酔薬・ステロイド剤)が有効であることがあります。
筋肉がやせてしまった方や、上記治療で症状がとりきれない方には手術治療が行われることがあります。
そのような場合には、連携機関である高次医療機関にご紹介させていただきます。
治療
徒手整復を行います。整復の後はいつも通りに腕を使えるようになります。
繰り返すこともあるので、手をひっぱりすぎないように注意してください。
7.腰部脊柱管狭窄症
症状
ご高齢の方に多い病気で、腰の痛みや足のしびれや痛みなどの神経の症状があります。
歩く、台所仕事などの立ち続ける動作で症状が強くなる特徴があります。
腰を曲げると症状が緩和し、座って休むと症状が改善しまた歩くことができるようになるというのも特徴です。
足の力の入りづらさや、排尿や排便などの調整がうまくいかないといった症状が出ることもあります。
原因・病態
日本全体では600万人の方が悩まされている病気といわれています。
腰椎には脊柱管という神経が通るトンネルがあります。
椎間板の加齢変性や、黄色靭帯(おうしょくじんたい)とよばれる靱帯が加齢によって厚くなることで神経を圧迫します。
神経が圧迫された結果、足のしびれや痛みなどさまざまな症状を引き起こされます。
治療
内服治療が必要になります。一般的な消炎鎮痛剤に加え、神経からくる痛みに特化した神経障害性疼痛治療薬、神経の血流を改善するプロスタンジン製剤、漢方薬などがあります。症状に応じてリハビリ治療も併用します。
症状がとりきれない場合には、神経ブロック注射も行っています。
内服治療やリハビリ、ブロック注射などで痛みがとりきれない方や、運動麻痺や排便・排尿障害が出てしまっている方は手術治療が必要になることがあります。
そのような場合には、連携機関である高次医療機関にご紹介させていただきます。
8.腰椎椎間板ヘルニア
症状
腰痛や足の痛み・しびれ(坐骨神経痛)が出ます。
進行すると足の力の入りづらさや、排尿・排便の調整がうまくいかなくなることがあります。(膀胱直腸障害)
病態・原因
椎間板は腰の骨と骨の間にあるクッションの役割をはたしています。
加齢による椎間板の変性や、日常生活動作によって椎間板の中の髄核(ずいかく)が飛び出し神経を圧迫することで、足の痛みやしびれが出ます。
治療
腰を曲げる、捻っる動作を控えることが必要です。
神経からくる痛み(神経障害性疼痛)に対しては、消炎鎮痛剤や神経障害性疼痛治療薬の服薬を行います。
腰部の牽引などのリハビリも併用します。
痛みが続く場合には、局所麻酔薬やステロイド薬を使用した神経ブロック注射で治療を行います。
内服治療やリハビリ、ブロック注射などで痛みがとりきれない方や、運動麻痺や排便・排尿障害が出てしまっている方は手術治療が必要になります。
そのような場合には、連携機関である高次医療機関にご紹介させていただきます。
主にご紹介させて
いただく高次医療機関
・聖隷横浜病院
・横浜市立大学附属病院市民総合医療センター
・横浜市立大学附属病院
・横浜市立市民病院
・横浜市立みなと赤十字病院
・けいゆう病院
・横浜中央病院
・横浜掖済会病院